#026 鳴いてるとおりの声が聞こえる
【老師】
参考になるかどうか知りませんが、こんな事を報告しくださった方がいる。
幼いころから自分の育った中で、カラスが鳴き始めて、カラスがいっぱい鳴き出すと、なんか不吉な事が起こるとか、いろんな事を教えられて、小さいころからカラスの鳴き声がすると、そのままじーっとしていられないような自分の状況があったっていうご年配の女性がいた。
私は大した力がないもんですから、「カラスが鳴くと、カラスが鳴いてるように聞こえるのが普通なんだけどね…」っていうような話をしました。
で、五日間接心で坐って、最後の日にお礼かたがた独参をされた時に「ありがとうございました。本当にカラスが鳴いた時にカラスが鳴いてるとおりの声がするだけだった。」って言ってました。
「八十何年生きてきて、ずっしり、どっかに重くのしかっかっていたものが、どうしたのか知らないけど、どこにもなくっちゃった」って言った。
カラスが鳴いてるとおりの声が聞こえるようになったら、不思議だねぇ。
これ、坐禅ですよ、坐禅ってそういう風になってる。
なーんにもしないんだよ、それまではいろんな思いが付いてたんでしょう。
カラスが鳴くと、いろんな思いが沸き上がって、そういう風な生き方をしてたんでしょう。
要するにカラスの声を聞いてるんじゃないんだね、自分の中でいろいろ思える事を相手にしてたんだろうねぇ。
だから、思える事を相手にしてるから、そこに出てくるのあたりまえだよね。
だけど、カラスが鳴いてる声のとおり居てみると、本当に何もないんだよね。
払うものも、取り除く必要がないくらい何もない。
「どうして、そんなに楽になったかわからない」って、あたりまえの事じゃないの?最初から。
こんな簡単のような事だけど、人間て八十年もこんな事知らずに生きるんだよね、それで苦しむんだよね、嫌な思いで。